昨年の都市対抗野球大会ではその右腕で三菱自動車倉敷オーシャンズ(倉敷市)の16年ぶり1勝に大きく貢献したばかりでなく、最速154キロ・2600回転を超えるストレート回転数をマーク。大会最優秀新人賞にあたる「若獅子賞」も受賞し、一躍社会人野球の中心人物となった廣畑 敦也(玉野光南高~帝京大・175センチ83キロ・右投右打)。

 大卒2年目。ドラフト解禁年となった2021年に入っても守護神役を務めたJABA東京スポニチ大会でチームを初優勝・日本選手権出場権獲得に導くと、自身も最高殊勲選手賞(MVP)を獲得。その評価は高止まりの気配を全く見せていない。

 そして4月16日(金)に開幕を迎えた地元開催・JABA岡山大会でも廣畑の成長は続いている。NPBスカウト11球団約30人が詰め掛けた予選リーグ初戦では同地区のライバル・JFE西日本相手に今季公式戦初先発。結果は8回3分の2を投げ118球・9本のヒットを浴びて0対2で敗れるも「変化球はカーブとスライダーしかあえて投げなかった」状況で終盤に最速151キロを出しての9奪三振。

 彼のタフネスぶりはここだけに留まらない。雨天中止を挟んだ中2日で迎えた予選リーグ第2戦・JR北海道野球クラブ戦では2対1で迎えた一死一・三塁の大ピンチで3番手マウンドに立つとストレート2球で併殺に仕留め勝利に貢献すると、翌日の4月20日(火)・準決勝進出をかけた予選リーグ最終戦・日本製鉄かずさマジック戦では再び先発。

 「フォーク・カーブ・縦スライダーも含めて全ての変化球を使っていった」福岡ソフトバンクホークスの絶対守護神・森 唯斗の実弟である森 祐大のリードに応え、今度は113球7安打4奪三振での2失点完投勝利。「試合序盤でマウンドが合わなかったのでバランスを変えた」クレバーさも発揮しつつ、最速152キロ・終盤にも150キロをマークする豪快さも兼ね備える内容を披露した。

 この対応力には5球団が詰め掛けたNPBスカウト陣ばかりでなく、敵将の日本製鉄かずさマジック・渡辺 俊介監督(元千葉ロッテマリーンズ投手)からも称賛の声が並ぶことに。特に2006・2009年のWBC連覇にサブマリンとして絶大なる功績を残した渡辺監督からは「自分の状態や相手の打者を見ながら次につながる失敗ができる投手」と、廣畑投手が目指す高みに向けて最大限の賛辞が贈られた。

 21日(水)に岡山県倉敷市のマスカットスタジアムで行われる準決勝(11:30予定:ヤマハ戦)、ここを勝ち進めば、NTT東日本vs日本製鉄広畑の勝者と対戦する決勝戦では利リリーフ待機となりそうな廣畑 敦也。ただ、たとえJABA大会連覇を逃したとしても、この大会が彼にとって日本選手権、都市対抗、そして秋のドラフト上位指名に向けての大きな収穫となったことは間違いない。

(記事:寺下 友徳