
今井達也 ※写真は過去のキャンプより
<球春みやざきベースボールゲームズ:西武1-0オリックス>◇28日◇SOKKENスタジアム
2月28日〜3月2日にかけて行われる練習試合シリーズ・球春みやざきベースボールゲームズが開幕。開幕試合となったオリックス対西武の試合は、投打で「ドラ1トリオ」が奮闘を見せ、西武が白星を挙げた。
投げては2016年ドラフト1位・先発の今井 達也投手(作新学院出身)が3回を投げ4者連続を含む6奪三振、1安打無失点無四球と危なげない投球を見せた。レンジャーズ・デグロム投手を彷彿とさせるフォームから最速156キロを記録。その一方で、投球の約6割が変化球かつ、ストライク率が7割に迫った点に関して「去年は変化球でカウントを取れて楽だった。今年も継続してやっていきたい」と狙い通りの投球だった。昨季までの女房役、オリックス・森 友哉捕手(大阪桐蔭出身)から奪った2打席連続三振はいずれも変化球だった。
2番手は2021年ドラフト1位・隅田 知一郎投手(波佐見出身)。こちらも3回を投げ、1安打無失点とローテ入りへ前進の投球を見せた。自己最速タイとなる150キロをこの時期に計測するなど、直球の平均球速や強さが目立ち、相乗効果として決め球のチェンジアップがより効果的だった。
今井、隅田ともに今オフは鴻江寿治トレーナーが主宰する「鴻江スポーツアカデミー」の合同自主トレに参加した。巨人・菅野 智之投手(東海大相模出身)、メッツ・千賀 滉大投手(蒲郡高出身)、DeNA・今永 昇太投手(北筑出身)、ソフトボール女子日本代表・上野由岐子ら、錚々たるエースを担当してきた同トレーナーと共に、今井は下半身主導が適した「あし体(反り腰)」、隅田は腕からの始動が適した「うで体(猫背)」のにモデルチェンジ。その新フォームが実戦の場で花開いた。
8回まで両チームともに0行進が続いたが、最終回にはこの日、西武の4番を務めた渡部 健人内野手(日本ウェルネス東京出身)がオリックス・山田 修義投手(敦賀気比出身)から右中間へ決勝適時二塁打を放ち勝負あり。昨季は1軍出場なしに終わった2020年ドラフト1位だが、中村 剛也内野手(大阪桐蔭出身)、山川 穂高内野手(中部商出身)と続く「右の超重量級スラッガー」の系譜を継げるか。その真価が問われる3年目シーズンへ吉兆を感じさせる一打で開幕スタメンへアピールした。

茶野 篤政 ※写真はドラフト会議より
ドラ1トリオが輝いた一方で、反対にオリックスは1人の育成ルーキーがワンチャンスをしっかりものにした。2022年育成ドラフト4位で四国IL・徳島インディゴソックスから入団した茶野 篤政外野手(中京出身)は、この試合はベンチスタートも、途中出場で結果を出した。8回に代打で登場。シーズン歴代2位81登板を誇る西武・平井 克典投手(飛龍出身)の直球を弾き返し、中前安打。昨季、四国アイランドリーグで首位打者を獲得したバットコントロールの証左と言える一打であった。キャンプ中にもワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表・宇田川 優希投手(八潮南出身)からライブBPで本塁打を放つなど、首脳陣へのアピールを続けている。
主砲・吉田 正尚外野手(敦賀気比出身)が抜け、外野レギュラー候補の杉本 裕太郎外野手(徳島商出身)、福田 周平外野手(広陵出身)が30代と数年後の世代交代も見えてきたオリックスにおいて、今日のようにチャンスに地道に応え続ければ、背番号033の23歳にも支配下、いやレギュラーも見えてくる。そんな可能性を感じさせる一打であった。