目次

[1]中学時代の仲間から刺激をもらいながら
[2]悲願の甲子園の舞台へ


 第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会の決勝が阪神甲子園球場で行われることが4月に発表された。女子高校球児にとっては悲願の出来事である。

 今夏の選手権大会には過去最多の40チームが出場する。注目校の1校に挙げられるのが、選抜大会2回、選手権大会1回の優勝を誇る神戸弘陵だ。女子選手ながら最速123キロの速球を投げるエースの島野 愛友利(3年)は大淀ボーイズのエースとして、ジャイアンツカップ優勝に導いた実績を持つ。

 兄の凌多(大阪桐蔭→龍谷大→社会人)と圭太(履正社→帝京大)も甲子園の出場経験があり、3兄妹での甲子園出場にも期待が高まる。早くも高校ラストイヤーを迎えた島野の現在地に迫った。

中学時代の仲間から刺激をもらいながら


 中学野球日本一投手として、鳴り物入りで入学した島野。一昨年の選手権で1年生ながらリリーフ登板するなど、早くから強豪校のメンバー争いに割って入った。順調なスタートを切ったように思われたが、「高校はレベルが高く、壁にぶつかった」と実力差を痛感した。特に繋ぐ意識の強い打線への対応に苦労したという。

 昨年は主力選手として前年以上の活躍を見せるつもりだったが、コロナ禍で大会の中止が相次いだ。「一つ上の先輩とできる最後の1年だったんですけど、大会もなくなってしまって、あまり全力を出し切れていない1年間だったと思います」と振り返る。全国規模の大会が開催されず、力を試す場すらなかった。その中でも「その期間があったからこそ得たものはたくさんあると思うので、それを今年には活かしていきたいです」と前向きに捉え、今シーズンに挑んだ。

 今年初の大会となった第22回全国高等学校女子硬式野球選抜大会では投手陣の柱としてフル回転。しかし、準決勝で履正社に0対4で敗れ、3連覇とはならなかった。チーム、個人としても課題が見えた大会だったと島野は話す。

「自分も含めてチーム全体で課題が残る大会だったので、これを夏に活かしていかないといけないと思います。チームとしては繋ぐバッティングができず、自分自身は連戦に弱く、安定したピッチングができなかったのが夏の課題です」

 選抜を終えてからは「ブルペンでより大会を意識して投げるよう取り組んでいます」と実戦を想定した投球練習に重きを置いた。取材日も試行錯誤しながら投球練習をする姿が見られた。

 島野が選抜大会で戦っているのと同時期に甲子園では選抜高校野球が行われていた。大淀ボーイズの同期では明豊からともに投手陣を支えた京本 眞鳥取城北からはバッテリーを組んだ岸野 桂大と3番遊撃手としてチームの中核を担った松田 龍太が出場。試合当日には「応援しているよ」などと連絡を取り合ったという。

「凄く嬉しかったですし、甲子園で活躍している選手と一緒に野球ができたと考えると凄く誇らしいです」と同期の活躍を見ていた島野。この時はまだ、自分も甲子園に立てるチャンスが巡ってくるとは思ってもいなかった。

 だが、その約1か月後に女子の選手権大会決勝が甲子園で行われることが発表された。そのことについて、島野はこう語ってくれた。

「男の子と同じ甲子園の舞台に立てると思っていなかったので、凄く嬉しい気持ちです。ここまでの舞台を用意して下さったことに感謝しています」