この春、試合になるたびに各スポーツ紙に取り上げられた逸材と学校がいる。それが千葉学芸の高校通算59本塁打のスラッガー・有薗 直輝ではないだろうか。準々決勝の中央学院戦では本塁打を放ち、関東大会でも関東一市川 祐から2安打を記録。関東大会後の練習試合で場外本塁打を放ち、59本塁打に達した。

 さらに投手として最速148キロをマークし、抜群の強肩と軽快なグラブ捌きを生かした守備も高く評価されている。全国レベルのスラッガーからトップレベルのスラッガーへ化けた有薗の半年間の進化の軌跡に迫る。

3月から2ヶ月で14本塁打増加。打つポイント・コースを理解


 ドラフト直後、有薗を取材した時、「高校通算60本塁打は目指したい」と宣言。2020年内は45本塁打で終えたが、5月末の時点でその目標は達成できるペースで本塁打を量産している。さらなるレベルアップへ向けて考えたのは、右方向へ本塁打を打てる打者になることだった。

「しっかりと軸を残して、足をしっかりと踏み込んで、右手でそういう(押し込む)感覚で打つようにしました」

 こうした感覚を身につけるために自主練習から意識しながらスイング。さらにクリーンナップを打つ板倉選手と打撃理論を交わしながら、3月から始まった練習試合で試していった。結果、多くの関東の強豪校と練習試合を行う中で本塁打を量産。

 結果的に右中間からライト方向への本塁打も多くなり、打者としてワンランクレベルアップを果たした。そして極めつけはこの春の県大会・中央学院戦の3回表、好投手・飯尾 嶺からレフトスタンドポール際に飛び込む弾丸ライナーの本塁打を放ったこと。

「内側から来る変化球で、真ん中のボールでした。少し泳がされて打ったんですけど、しっかりと捉えられて、入るかなと思いました」

 昨年からの活躍で、有薗自身、マークが厳しくなっていることは実感しており、特に内角攻めが多くなった。この大会では死球3つ。うち1つは目の下に当たるものもあった。それでも復帰し、しっかりと結果を残すのだから凄まじしい。

「正直、内角攻めが増えると踏み込みが難しいのですが、その分、攻めきれなかった速球、変化球が真ん中に入っていきます。そこをしっかりと捉える事ができてよかったです」

 結果として県大会では21打数5安打だったが、2二塁打、1本塁打、5打点、長打率.667と数字以上に大きなインパクトを残した大会だった。さらに多数の球団が詰めかけた5月8日の八王子との練習試合。八王子の先発は193センチの左腕・羽田 慎之介

 最速145キロの速球、都大会終了後に解禁したスライダー、チェンジアップを軸とした投球の前に千葉学芸の打者の多くが苦しんだが、有薗はスライダーを捉えて、センターへ大きなフライ、そして第2打席は内角に決まる142キロのストレートを捉えてレフトフライだった。高校生ではなかなか対戦できない大型の速球派左腕でもしっかりと自分のタイミングで打てていたのだ。この試合を振り返り、有薗は「本当に見たことがないストレートやスライダーで対応するのは大変でしたが、夏前へ向けて良い経験が出来たと思います」

 さらに1週間後の関東一戦では、東東京屈指の好投手・市川 祐から2安打を放つなど対応力の高さを示した有薗。そして5月30日の横浜商大高高との練習試合で場外へ消える高校通算59号本塁打を放ち、昨年掲げていた60号はクリア目前だ。そして有薗の凄さはこれだけではない。投手、守備としても凄いのだ。