目次

[1]進化を促したフォーム改造の背景
[2]対外試合で140キロ連発。今年は戦力になりたい


 今年、アマチュア野球ファンの間で密かに話題になっているのが西濃運輸・林 優樹の急成長だ。近江のエースとして甲子園に3度出場した林。侍ジャパンU-18代表にも選ばれるなど、高校野球界を代表する技巧派左腕として活躍した。

 一昨年にプロ志望届を提出したが、NPB球団からの指名はなく、社会人の名門・西濃運輸に入社。ルーキーイヤーの昨年は左肘を痛めた影響で実戦登板はなく、体作りに専念していた。

 今年は対外試合での登板を果たすと、デビュー戦で自己最速を7キロ更新する144キロをマーク。その後の登板でも安定して140キロ台を計測しており、高校時代から明らかにスケールアップした姿を見せている。

 高校野球ファンを驚かせる着実な進化を見せた林優樹。後編では覚醒のきっかけとなったフォーム改造の秘密に迫る。

進化を促したフォーム改造の背景


 今回、高校野球ドットコムから配信した動画で、現在の投球フォームの変化に驚いた方も多いと思う。
 高校時代は右足を高く上げて、大きく振り下ろす投球フォームだったが、今では大きい右足の上げ方は変わりないが、二段モーションからスリークォーター気味で投げたものになっている。佐伯コーチとのトレーニングの要素を取り入れた中で、現在のフォームにたどり着いたそうだが、「体の負担が凄く大きかったですし、上の世界を目指すのは無理なんじゃないかなと思っていました」と最初は足を上げるフォームをやめることも考えていたそうだ。

 小さな体を大きく使うフォームで投げていたことで、登板後には下半身の張りを感じることも多かった。そこで、林は佐伯コーチに足を大きく上げないフォームに変更したい旨を伝えた。佐伯コーチも「そっちの方が良いボールが簡単に投げられるのかな」と思ったそうだが、あえてそれを拒んだ。それは高校時代の投球が強く印象に残っていたからだ。

 「たまたまテレビをつけた時に見たのが彼のピッチングで、その姿を見た時に凄い投げ方をするなと思いました。なかなかこういう投げ方をする子はいないですし、それが彼の特徴だと思います。その特徴を消さずによりレベルアップする方法はないのかなという風に二人で話し合いながらやれたんじゃないかなと思いますね」



右足を大きくあげる林の投球フォーム

 個性を殺さずにレベルアップを目指した結果、見事にそれが成就した。林の独特なフォームに影響を受けた選手は少なくなく、林 平太郎都立城東)、三尾 倖平京都翔英)、安土慶(星稜)のように投球フォームを真似る投手まで現れるようになった。そのことについて、林は次のように話す。

 「野球は体が小さくてもできるスポーツだと思います。自分は野球を始めた頃から体がずっと小さい方でした。でも、体が大きい選手に負けたくないとずっと思っていたので、参考にしてもらっているのは凄く嬉しかったです」

 体が大きくなくても活躍できる一つの成功モデルとなった林。今年に入ってから段階を踏んで本格的な投球を再開し、2月に実戦登板を果たすまでになった。