目次

[1]63キロから70キロへ増量に成功
[2]シャドーピッチングから体の使い方を見直す


 今年、アマチュア野球ファンの間で密かに話題になっているのが西濃運輸・林 優樹の急成長だ。近江のエースとして甲子園に3度出場した林。侍ジャパンU-18代表にも選ばれるなど、高校野球界を代表する技巧派左腕として活躍した。

 一昨年にプロ志望届を提出したが、NPB球団からの指名はなく、社会人の名門・西濃運輸に入社。ルーキーイヤーの昨年は左肘を痛めた影響で実戦登板はなく、体作りに専念していた。

 今年は対外試合での登板を果たすと、デビュー戦で自己最速を7キロ更新する144キロをマーク。その後の登板でも安定して140キロ台を計測しており、高校時代から明らかにスケールアップした姿を見せている。そんな林の進化の軌跡に迫る。

63キロから70キロへ増量に成功


 技巧派左腕のイメージから一変する成長に、西濃運輸の首脳陣の評価が高い。
 高橋 朋己や野田 昇吾(ともに元西武)らを指導した実績のある林教雄監督が「高卒2年目の段階でこのレベルのピッチャーは初めてですね」と絶賛する。

 

 高卒でのプロ入りが叶わなかった林が名門社会人チーム・西濃運輸に選んだ理由は、ある指導者の存在があったからだという。

 「プロに行くにあたって一番の近道だと思いましたし、ピッチングコーチの佐伯 尚治さんの下で野球をやりたいと思ったので、西濃運輸で野球をすると決めました」

 佐伯コーチは2014年に都市対抗野球で西濃運輸が優勝した時のエースで、最優秀選手賞にあたる橋戸賞を受賞した伝説の投手。日本一を経験した投手に指導を受けるために西濃運輸入りを決めたのだった。

 佐伯コーチの育成プランとしては体作りと並行しながら、夏頃から徐々に実戦で投げていくというものだった。しかし、入社間もない時期に左肘に違和感が出たこともあり、1年目は体作りに専念することになる。

 まず、取り組んだのは体重の増加だ。入社当時の体重は63キロしかなく、体を大きくすることは目に見えてわかる課題だった。佐伯コーチは「増えなかったらキャッチボールさせないからな」などと林にプレッシャーをかけることで、増量を促した。林は練習の合間におにぎりやプロテインを摂取するなど地道な努力を重ね、70キロまで体重を増やすことに成功。高校時代とは比べ物にならない肉体を手に入れた。

 「最初は凄く動きにくい感覚がありましたが、練習していくうちに慣れてきました」と大きくなった体にも順応。体作りという第一関門を無事に突破した。