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第1278回 「自分の感覚を信じる」 パ・リーグ投手三冠の福岡ソフトバンク・千賀滉大(蒲郡出身)の調整法 【前編】2020年11月21日
自分の感覚を信じて

2020年、投手3冠を獲得した千賀滉大(蒲郡出身) (C)SoftBank HAWKS
昨今、映像を使ってフォーム分析をして、役立てる選手も多くなった。自分が思っている動きと映像で見えた動きのギャップを埋め、日々の投球練習に生かしている。
しかし千賀の場合、自分の投球映像は見ないという。
「僕はほとんど見ないですね。自分の体との会話を行って、体の状態、動きを把握しています」
これは千賀個人のやり方であり、現在、フォーム解析をしながら上達を目指している高校生投手たちはその方法を継続してももちろん良いと思う。ただ視覚から見える部分だけではなく、自分の体から感じる感触を毎日確かめながら確認を行い、調整を進める千賀のやり方は大いに耳を傾けるべきである。さらに現在は回転数を測り、それをパフォーマンスアップに役立てる考え方も浸透してきた。それについても千賀は「高い回転数を出すことを前提にして練習をするのではなく、自分が求めるパフォーマンスを実現して、打者を抑える。その上で数値が高ければいいですし、それにとらわれる必要もない」とあまりこだわる様子はない。
自分の感覚を何より大事にする千賀だからこそ用具選びにもこだわる。とくにスパイクは体と一体となるような感覚を求めている。
「用具選びのポイントとして自分の体が一緒になっているような感覚を求めていますね。自分とスパイクが別の感覚になっているとあまり合わない感じで。『靴ズレ』という言葉があるように、フィットしていないスパイクだとそういう感覚になりやすいです」
そんな千賀は、プロ入り後は、いくつかのスパイクを試して履いてきたが、2017年からスパイクにベルトがついている「コウノエベルトスパイク」を使用している。「自分の体に対して、しっかりとフィットし、体の一部になっている感覚があります」と、自分に合うスパイクを見つけ、現在に至っている。
千賀はこうアドバイスもする。
「見た目も大事ですけど、実際に動いてみて、自分にあうものを見つけていくのは大切だと思います。高校生にとっては難しいですし、それでも自分の感覚に合うものを見つけていく事が大事だと思います」
千賀は非常に自分の感覚を大事にし、体と対話しながらプレーをしている選手だといえる。そして、試行錯誤しながらも、自分なりの考えと答えを持っている。一切のブレがない。なぜ2016年から5年続けて二桁勝利、規定投球回、防御率2点台を維持できる投手であり続けるのか。
千賀の野球に対する考え方、日々の取り組み方を突き詰めると超一流ならではの回答がでてきた。続きは「後編」にて!
(記事=河嶋 宗一)