第981回 研究を重ねてどり着いた回転数の高いストレートと決め球・チェンジアップ 田中誠也(立教大)【後編】2019年07月03日

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【目次】
[1]ベンチワークを変えた主将・監督の叱責
[2]研究を重ねてどり着いた回転数の高いストレートと決め球・チェンジアップ


 大学を代表する技巧派左腕である立教大の田中 誠也。リーグ通算13勝、207奪三振。ストレートの球速は140キロ前後。田中より速い投手は東京六大学野球に多くいる。ではなぜ大学1年からリーグ戦登板を経験し、活躍を続けることができるのか。後編では立教大進学後の話に迫っていく。田中の回転数が高いストレートを投げる秘密や決め球のチェンジアップを投げる秘密について語ってもらったが、こちらはぜひ動画を見ながら、インタビューを読んでほしい。さらに理解が深まるはずだ。

 コントロールで生きる!自身のスタイルを確立させた大阪桐蔭時代 田中誠也(立教大)【前編】

ベンチワークを変えた主将・監督の叱責



リーグ戦に登板する田中誠也

 立教大に入学すると、レベルの高さを目の当たりにする。
「これまでプロ入りしている選手も多くいますし、1年生のときは投げるタイミングがないかなと思っていました。それでもベンチ入りは目指そうと思っていました」

 それでも1年春からリーグ戦で登板する機会に恵まれ、1年秋も5試合に登板。防御率1.04の好成績を残したが、田中は手応えを感じていない。

 「あの時は今ほど考える余裕を持ってプレーはできていなかったですね。2年生になってから先発を任されるようになりましたが、このときは打たれても、監督と打たれた課題を話しながら、次の試合に向かう余裕がありました。あのときは結果も、実績もない立場でしたので、目の前の打者を抑えることに必死だった記憶があります」

 そういう状況を打破するために、先発投手の座を狙うためにアピールを続ける。当初の目標は第2戦で先発登板することを目指していたが、エース候補の投手が故障したため、第1戦で投げる。つまりエースを目指すことを決意した。

 「練習試合、普段の練習のシート打撃でもどんどん投げてアピールすることを決めました」
 そして目標通り、第1戦の先発マウンドを勝ち取った田中。しかし、4月15日の法政大戦に先発したものの、5回4失点で降板し、悔しいマウンドとなった。
「その時、ベンチの後ろで、静かにいて、他のメンバーに声を掛けることもできなかったんです」

 試合後、溝口監督、主将だった熊谷 敬宥から叱られ、降板後の姿勢を改める。
「何してんねん!自分にできることはないんか!ってすごい怒られたんです。今までそういうことが全く頭になくて、ベンチにいて何かできることはないかと考えるようになりました」



ベンチ前で仲間を迎え入れ、ハイタッチを交わす田中誠也

 そこから、田中はベンチ内では大きな声を出し、選手たちを盛り上げるようになり、今ではその姿を称える声が多い。決して最初からできたわけではなく、1つのKO劇が田中を変えたのだ。
「それまでは自分の中でいっぱいいっぱいでしたが、だいぶ変わりました。この年、リーグ優勝も、全国優勝もさせていただきましたが、僕にとっては優勝よりも大きい経験でした」

 チームを代表する投手として試合に対する姿勢を改めたが、投球術も高校時代から進化をさせた。その1つがタイミングの外し方だ。そのために試合前の準備を怠らない。

 「まず1週間前に対戦予定のチームの映像を見ます。そこで、打者のタイミングの取り方を見たり、春、秋で調子の良い打者、悪い打者が変わってきますので、どういうスイングをして、どういう方向にヒットが出ているのか。それを頭に入れて投げています」

 そして試合に入ると、事前に1人1人の打者にどういう攻めをすればいいのか頭に入っているので、主体的にピッチングができる。またそして試合を進める中、実際に対戦をして、スイング、ボールの見逃し方を見て、二巡目、三巡目でピッチングの組み立てを工夫している。田中は経験を積み重ねるごとに打者にどういうビジョンで攻めていけばいいのか、考えられるようになった。

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プロフィール

田中 誠也(たなか・せいや)
  • 立教大学
  • ポジション:投手
  • 身長:171センチ 体重:68キロ
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