第13回 興南が優勝した意味2010年09月01日

優勝を喜ぶ興南ナイン
イマドキの高校生という見かたはしていたが、「人間力」という部分で物足りなさを感じていたからだ。
とはいえ、これは僕個人の思想であるだけで、ごく一般的な思想ではない。それは理解しているし、自分の思想だけが何よりも正しいと、思っているわけではない。
今の時代に、眉毛を細く整えた球児がいて、ガッツポーズを善しとする指導者がいても、それは不思議なことではないと思っている。
あくまで思想の違いがあるだけだ。
今大会を見ていると、そうした思想の違いが色濃く、出ていた大会だったように思う。眉毛を細く整えたドラフト候補のエースや「笑顔」をテーマにガッツポーズを推奨する伝統校の監督がいたし、一方で、広陵・聖光学院のように、眉毛をいじらない、英明、天理のように、ガッツポーズを禁止しているチームもあった。履正社は主将の江原ら、言葉遣いに好感を持てたチームもあった。
仙台育英VS開星の試合を今大会のベストゲームに挙げる人が多いと聞いた。これには僕自身は反対である。9回裏、二死1、2塁で仙台育英の左翼手・三瓶が見せたスーパーキャッチはそれこそ、感動に値するビッグプレーだったが、それまでがベストゲームと思えなかったからだ。
この試合のハイライトは9回表、仙台育英の攻撃にあった。1点ビハインドで2死満塁。ここで、打者・日野は中堅フライを打ち上げたのだが、これを開星の中堅手が落球してしまい、二者が生還した。
野球とは分からないという訓示のようなシーンだったが、このプレーで残念だったのは、中堅フライが飛んだ瞬間に、開星のエース白根はアウトを確認するまでもなくガッツポーズを作り、走者だった田中も点を仰ぎながら、走っていたというところだ。


- 氏原 英明
- 生年月日:1977年
- 出身地:ブラジルサンパウロで生まれる
- ■ 高校時代から記者志望で、新聞記者になるのが将来の夢だった。
- ■ アトランタ五輪後に、スポーツライターに方向転換。
- ■ 大学を卒業後、地元新聞社に所属。
- ■ その後スポーツ記者として、インターハイなど全国大会の取材も経験させてもらい、数々の署名記事を書く。
- ■ 03年に退社。フリー活動を開始。
『週刊ベースボール』、『ベースボールクリニック』(ベースボールマガジン社)、『アマチュア野球』(日刊スポーツ出版社)『ホームラン』(廣済堂出版)、『Number』(文藝春秋)、『Sportiva』(集英社)、『高校野球ドットコム』『ベースボールファン』などに寄稿。フリーライターとしての地位を固める。
- ■ 「人間力×高校野球」(2009/04~2011/01まで連載)
- ■ 講演依頼

奈良大会も、ベスト8が明日戦うことになっています。
わが息子もそのうちの高校でプレーさせていただいています。明日は、甲子園常連高との試合で・・・ドキドキしますが・・・精一杯やってくれることを祈っています。
明日のコラム楽しみにしております。
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