目次

[1]明治神宮大会2連覇から見る勝ち方
[2]秋季大会では戦いながら野手陣を育成
[3]今後の課題はチーム全体が前田に頼りすぎないこと

明治神宮大会2連覇から見る勝ち方



神宮大会を制した大阪桐蔭

 昨年秋の明治神宮大会も、大阪桐蔭(大阪)は強豪から勝利して2連覇を果たした。バリエーション豊かな勝利の仕方も見受けられ、準決勝の仙台育英(宮城)戦と決勝の広陵(広島)戦は、立て続けに逆転勝ちしており、真の強さも感じられた。

 この世代の大阪桐蔭は、エース兼キャプテンの前田 悠伍投手(2年)を中心とした、チームビルディングを高めている。野手陣は、2番の山田 太成外野手(2年)と3番の徳丸 快晴外野手(1年)が大会を通して、5割以上の打率を残して、打線の起点となった。

 チームの中心である前田は、2年連続で明治神宮大会で胴上げ投手となった。しかし、相手チームが研究をしていたこともあり、近畿大会から打ち込まれる場面も見られた。現状は投手として全てが70〜80点でまとまりすぎているため、何かねじ伏せられるものが欲しいところだ。投手としてどれか突き抜けた力をつければ、夏の甲子園のような雰囲気や状況が劣勢の時にねじ伏せられる投手になれるだろう。

 初戦の東邦(愛知)戦は、前田が中村 騎士内野手(2年)にホームランを許すも、相手のエラーが重なり、最終的には9得点を挙げて勝利した。2戦目のクラーク記念国際(北海道)戦は、打線が爆発力を見せる。前田の登板はなかったものの、12対2のコールド勝ちで大勝した。


前田 悠伍(大阪桐蔭)

 準決勝は国体でも対戦をした仙台育英だ。春の甲子園覇者対夏の甲子園覇者の対戦は非常に注目度が高かった。仙台育英大阪桐蔭打線が左打者の対策で、左腕の仁田 陽翔投手(2年)が先発。大阪桐蔭は前田が先発で試合が始まった。仙台育英は、こちらも注目の選手でもある山田 脩也内野手(2年)を中心に攻め立てて初回に先制点を挙げる。2回も追加点を挙げて、初回から仙台育英ペースで進んだ。大阪桐蔭は3回に制球が定まらない仁田から2つの四球でチャンスを広げて徳丸の適時打で1点を返した。仙台育英は、4回にエース高橋 煌稀投手(2年)がマウンドに上がるが、6回にピンチを招いて左腕の田中 優飛投手(2年)に変わるが、山田が二塁打を放って逆転。その後も大阪桐蔭は、追加点を挙げて突き放した。9回に前田が2本の適時打で1点差に追い上げられたが、161球を投げて完投勝利で決勝進出を果たした。大阪桐蔭は勝利をしたものの、仙台育英は夏のメンバーが残っていることから、センバツ以降も脅威となっていくだろう。

 決勝は2年連続で広陵との対戦になった。大阪桐蔭南 恒誠投手(2年)が先発。しかし、序盤から広陵打線に捕まり、準決勝と同様にビハインドの展開になった。4回には南 陽人投手(1年)が、注目のスラッガーでもある真鍋 慧内野手(2年)に2ランを打たれて、一時は5点差となった。

 ただ、このままで終わらないのが、大阪桐蔭打線だ。5回の先頭打者の長澤 元外野手(2年)の三塁打から広陵先発の倉重 聡投手(2年)を攻め立てる。山田、徳丸、南川 幸輝捕手(2年)の連続適時打や押し出しなどで5点差を追いつく。さらに、6回にはこの大会で当たっている山田の適時打で勝ち越した。勝ち越した6回からは前田がマウンドに上がる。その前田が4回7奪三振の好リリーフを見せて、大阪桐蔭が史上初の明治神宮大会2連覇を果たした。