混戦のカギを握るノーシード・関東一の存在

髙橋 徹平(関東一)
2023年も秋季都大会の4強である東東京の二松学舎大附、帝京、西東京の東海大菅生、日大三を中心とした展開になるだろう。ただ、この4校が盤石かと言われれば、必ずしもそうではない。
秋季都大会優勝の東海大菅生や東海大菅生と互角の試合をした日大三は、例年ほどの破壊力はない。チーム全体のレベルの高さでは準優勝の二松学舎大附が1歩リードしているが、先発登板した大矢 青葉外野手(2年)に安定感を欠いた。帝京もエースの高橋 蒼人投手(2年)が崩れると脆さが出た。
混戦に拍車をかけるのが、関東一の存在である。公式戦の経験者が少なく、秋季都大会ではまさかの2回戦敗退となった。それでも、選手個々のレベルは高いうえに、早期敗退により鍛える時間は長かったので、春以降は巻き返してくるだろう。問題は2回戦敗北により、春はノーシードでの参戦になることだ。
春季都大会でベスト16以上が夏の大会でシードされる。関東一が春季大会でノーシードになったことにより、春は早い段階で秋の4強を含めた強豪と対戦する可能性が出てきた。関東一がチーム力をどこまで上げ、春季大会はどこと対戦するかは、東東京大会だけでなく、西東京大会の優勝争いにも影響を及ぼす可能性がある。
それでなくても西東京は実力伯仲である。秋の大会の準々決勝で東海大菅生は国士舘に、日大三は桜美林に延長戦の末、かろうじて勝った。世田谷学園は秋の大会で関東一に続き、早稲田実業にも勝っている。22年のセンバツベスト4の國學院久我山も、秋はエース・木津 寿哉投手(2年)の不調で本来の力を出せずに敗れたが、優勝争いに加わる力はある。
東東京にしても、二松学舎大附、帝京の2強に加え、関東一、名門復活を目指す日体大荏原、修徳、東亜学園、日大豊山あたりにも力はある。
さらに混戦を予感させるのが、かなりの強豪校が秋季都大会の1次予選で姿を消していることだ。東東京勢では明大中野、豊南、都立雪谷、都立小山台、東海大高輪台、上野学園、都立高島、都立文京、都立城東、共栄学園などがあり、西東京勢では日大二、駒大高、明星、桐朋、早大学院、都立富士森、日本学園、都立昭和などが挙げられる。22年の夏は、秋や春は1次予選で敗れた都立富士森が準決勝に進出した。可能性を秘めたチームは、他にも多くあるはずだ。