リスペクトの思いと全力を注ぐ



徳島インディゴソックスからNPB入りを目指す吉村優

 もちろん、メンタルに関係なく、パフォーマンスアップにつながっている部分もある。
 「アメフトの時は、選手の動きをイメージして場所に投げる感覚でした。だから今でも変化球を投げる際は、ミットを見るというよりもボールの軌道、キャッチャーよりも手前にイメージをもって投げることで、精度は高まったと思います」

 他にも、現在は野球をメインに週3日投げ込みながら、キックボクシングも取り組んでいるという。「全身を連動させて使わないといけないですし、野球の動きに近いものなので、ピッチングにつながっている感じがあります」と話す。
 球技と格闘技。一見、関係性のないところから共通点を見つけることに楽しさも感じているが、パフォーマンスアップに大きく関わっているのが、運動神経への強化だと考えている。

「アメフトは特に新しい動きをすることが多かったので、上手い人の真似をするためにはトレーニングでの筋力強化が必要でした。そこで動きたいように動く練習をすることで、筋力だけではなく、自分の身体をうまく使えるようになったので、運動神経にもアプローチできていると感じています」

 トレーニングだけではなく、新しいことを教わることで考えながらプレーすることが増えた。そのなかで新しく掴んだ感覚が、パフォーマンスアップになっていることを実感している。

 マルチスポーツを通じて、技術も精神も学ぶことが多く、メリットが多く見えるが、冒頭でも紹介したように、その前提には受け入れてくれるチームへの尊敬の念を持ち、さらにどちらも全力を注ぐことだ。

「すべて全力でやるからこそ、ここまでいろんな発見があり、成長することができました。だから、逆に中途半端に取り組んでしまえば、その分しか返ってこないと思います」

 別の競技とまでいかずとも、「勉強でもいいから力を注ぐのも良いと思います」と、一つの世界にとどまらないことを強調する。

 ただ、自分を受け入れてくれているというリスペクトの気持ちと、全力を注いでいくこと。これらを忘れずに、他競技との「二刀流」に取り組めば、新たな自分に出会うこともできるはずだ。

(文=田中 裕毅)

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