九州国際大付(九州・福岡)の挑戦は、思わぬ形で終わりを告げた。明治神宮大会準決勝。6回表まで大阪桐蔭(近畿・大阪)相手に2対1とリードしていたが、6回裏に一気に7失点を喫し、7回にも1点を奪われてコールド負け。相撲に例えれば、「横綱」を土俵際まで追い込もうとしていた矢先に、思い切り投げられて土俵にたたきつけられたような試合だった。

 スーパー1年生BIG4の一人、4番佐倉 侠史朗内野手が、ライバルのスーパー1年生BIG4の大阪桐蔭前田 悠伍投手から先制弾、1番打者の黒田 義信外野手(2年)の勝ち越し弾と、自慢の長打力を発揮して大阪桐蔭からリードを奪った。「楽しみだった」という「横綱」に自分たちの力を存分に見せつけたが、逆に「横綱」を本気にさせてしまった。

 佐倉はその後、2打席連続三振。打線も4回からは前田の前に1安打しか打てなかった。先発した背番号2の主将でもある野田 海人捕手(2年)も6回にまさかの7連打で沈んだ。「対戦前はワクワクしていたところもあったんですが、初球から甘い球をどんどん振ってこられた」。集中力のスイッチが入った「横綱」の投げには、踏ん張りきれなかったようだ。

 九州国際大付大阪桐蔭と初対決だったが、調べてみると、過去、春夏の甲子園で福岡のチームが大阪桐蔭と対決したことが2度ある。17年センバツで東海大福岡が準々決勝で対決したが、2対4で敗れた。8回に1点差まで詰め寄る健闘も、今ドラフトでDeNAドラフト2位指名を受けた徳山 壮磨投手(早稲田大)の前に完投勝利を許した。18年夏には、沖学園大阪桐蔭と2回戦で対戦した。2本の本塁打を放ったが、4番藤原恭大外野手(現ロッテ)に1発を含む2安打3打点、先発した根尾 昂内野手(現中日)にも1発を含む2安打1打点を許し、4対10と力の差を見せつけられた。

 思い出した言葉がある。沖学園の先発だった石橋 幹投手は3回まで大阪桐蔭打線を無安打に抑えていた。しかし4回、先頭に安打を許した後、藤原に左中間をライナーで破る適時二塁打を許した。その打球について、試合後の取材で石橋投手はこう例えた。

 「自分の顔の横を新幹線が通るようだった」

 おそらく生まれて初めてそんな打球に遭遇したのだろう。距離的には投手の顔より離れたところを飛んだはずだが、石橋投手には「新幹線」が通過するホームにいた感覚だったのだろうか。その藤原の「新幹線打球」をきっかけに得点を奪った大阪桐蔭打線が8回まで毎回得点を奪って快勝した。

 この日の九州国際大付も、やはり突然、力を発揮すると止まらない大阪桐蔭打線を味わった。

 「自分たちも集中力はある方ですが、大阪桐蔭の集中力が違っていた」

 そう唇をかんだ佐倉も「横綱」打線の脅威を一塁手として味わったが、挑戦はまだ始まったばかりだ。。1年生ながら4番に座り、チームを引っ張り九州大会から明治神宮大会ベスト4まで駆け上がった。神宮で前田から本塁打も放った。大きな自信をつけたに違いない。全国トップレベルの強さを見せつけられた悔しさは、来年甲子園で実現するかもしれない「再戦」にぶつけてくれるはずだ。

(記事:編集部)