カクテル光線に照らされた高松商ナインを見て、5年前のあの夜を思い出した。

 高松商が夏初戦で作新学院を破って勝利を挙げた。互いに古豪同士の対決。伝統校らしく、終盤まで両者粘り強い試合運びで熱戦を演じた。最後は打撃力に勝った高松商が競り勝った。3回に3連打で3得点。5回には2安打に敵失もからめて3得点を挙げた。そして8回に一気の勝ち越し劇。みごとな集中打だった。あの日の夜もそうだった。

 5年前、16年3月28日、甲子園でのセンバツ準々決勝。高松商海星(長崎)と対戦していた。4回まで3対1とリードしていたが、5回から猛攻がスタートした。5回2点、6回2点、7回3点、8回3点。徐々にボルテージを上げていくと、9回には打者一巡の4得点。17対8で勝利した。8失点されながら22安打17得点と打ちまくった。試合が始まったのは午後4時1分。照明が点灯したのは午後5時を回ってからだった。まさに高松商が8回に猛攻を演じていた最中で、その後に「エンドレスモード」に入った。カクテル光線が似合うナインだった。

 この日もナイターでのゲーム。激しい打撃戦を見せた高松商ナインは、5年前のセンバツの姿にダブって見えた。この年のセンバツはあれよあれよと、決勝までコマを進めた。古豪復活かと地元を含めて期待も高まったが、智辯学園にサヨナラ負けを喫した。それでも、甲子園のファンは惜しみない拍手を「高商ナイン」に贈っていたことは今でも脳裏に残っていいる。

 高松商は2大会連続21度目の「夏の強豪」だが、意外にも夏の勝利は1996年の初戦(2回戦)以来、25年ぶりだった。前回の19年に夏出場したのも23年ぶりのことだった。センバツでは強くても夏に結果が出てなかった。

「本当の力がでるまでは、まだまだ時間がかかるんです。ここまでは伝統の力だけ。選手が強くなっていかないといけない」

 16年センバツで準優勝に終わったとき、試合後に長尾健司監督が口にしていた言葉だ。あれから5年。夏の1勝の難しさを痛感したに違いない。「本当の力」がついた成果なのか。25年ぶりの夏1勝の結果は大きい。

 今年の打線は「クリーンアップトリオ」ではなく「クリーンアップカルテット」をひっさげて甲子園に挑んでいる。2番にすえている2年生の浅野 翔吾外野手は香川大会でチームトップの打点10をマーク。2番から5番まで打点を挙げられる打線を作り上げてきた。この日も3回の3得点、5回の3得点は上位打線がつないだ結果。そして試合を決めた8回の勝ち越し劇も二死から2番浅野がつないで4番藤井 陸斗の決勝打につなげた。結局10得点中、2番から4番までで8打点。重量打線が火をふいた。

 25年前の夏初戦は浦和学院相手に2者連続アーチなどで打ち勝って勝利した。次の目標は1970年以来、51年ぶりの夏ベスト8。そして過去2度目の栄冠となった1927年以来、94年ぶりの優勝へ。古豪が「本当の力」で完全復活する日がくる予感がしてきた。

(取材・文=編集部)

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