目次

[1]筋肉と脂肪はどちらが重い?
[2]筋肉量を増やしながら体を大きくする


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 この時期らしい寒さが続きますが、皆さんは毎日元気に過ごしていますか。新型コロナウイルスは社会生活に大きな影響を及ぼし、部活動においても例外ではありません。感染予防を行いながら、春のシーズンに向けてできることをしっかりと行っていきましょう。さて今回はトレーニング期に入ると一度は尋ねられる「筋肥大」と「スピード」の関係について、お話をしたいと思います。

筋肉と脂肪はどちらが重い?

 トレーニング期に入ると、まずは土台作りのために体を大きくすること=筋肥大を目的としてトレーニングプログラムを設定することが多いと思います。筋線維はトレーニングによる刺激によって太く、強くなり、体全体の筋肉量は少しずつ増えることが想定されます。

 ここで筋肉と脂肪の比重について考えてみましょう。比重とは「大きさ(体積)あたりの重さ」のことで、水を基準値(1.0)とした数値で表されます。水を1.0とした場合、筋肉はおよそ1.1、脂肪はおよそ0.9程度といわれ、ざっくりまとめると筋肉は「水よりも重い物質」、脂肪は「水よりも軽い物質」ということが言えます。このことを知っている人にとっては「筋肉をつけると体重が増えて動きづらくなるのでは?」といった誤解をもたれるかもしれません。

トレーニングをすると足が遅くなる?

 特に足の速い選手の場合、トレーニングをして体が重くなってしまうことは、自分の武器である「スピード」を失うことになるのではないかと考え、ウエイトトレーニングに対して前向きにならないことも考えられます。ウエイトトレーニングを続けていくと確かに体には変化がみられるようになり、「体が重くなった」「足が重くなった」と実感することもあるでしょう。

 ここではトレーニングと実際の技術練習とのすり合わせによって、「変化した体」と「備わった筋力」をうまく使いこなせるように学習していく必要があります。走力は「ピッチ(回転数)」と「ストライド(歩幅)」によって決まってくるのですが、筋力が向上することによってピッチが増えたり、ストライドが拡がったりといったことが期待できます。また筋力が上がることによって、地面から得られる反力も増えることになり、より大きな力を得て体を動かすことが可能になります。

 車のボディを体全体、エンジンを筋肉と考えてみるとわかりやすいと思います。軽自動車で軽自動車用のエンジンを積んでいる状態(体が軽く、主観的にスピードを感じる状態)から、普通自動車のボディとエンジン、さらにはレーシングカーのボディとエンジンへと性能を上げていくと筋力とともにスピードも改善されてより大きなパワーを得ることにつながります。

 「軽自動車のボディにレーシングカーのエンジンを載せるともっと速くなるのでは?」と考える人がいるかもしれませんが、大きなパワーを持つエンジンを搭載するのであれば、それに耐えられるだけのボディが必要であり、ボディが備わっていないと動かすことによってそのパワーに耐えられず、故障(ケガ)をしやすくなると言えるでしょう。