第205回 現状を把握するための体力測定2018年11月15日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]年間活動計画を確認してみよう
[2]測定項目をリストアップ

測定項目をリストアップ



走力測定ではスプリント能力とベースランニングの技術を確認することができる

 必要とするデータを確認し、測定項目をリストアップしていくようにしましょう。まずは基本的なところを抑えておくようにしましょう。

《体重と体脂肪率》
 ただ単に「体を大きくする」「体重を重くする」というのではなく、パワーアップに必要な筋肉量に変化が見られるかを体重と体脂肪率から割り出します。最近の活動量計は体脂肪量を計算してくれるものもありますので、その増減に着目しましょう。体脂肪量が多く、動きづらさを感じる場合は体脂肪を減らすようなトレーニングを取り入れる必要がありますが、必要以上に体脂肪を減らしすぎてしまうと体の組織を作るための材料が減ってしまい、体調を崩す一因ともなるので注意が必要です。

《周径囲と筋力》
 メジャーを使って体の部位を測定する周径囲は体の大きさだけではなく、筋力の評価にも役立ちます。常に同じ位置の周径囲を測ることと、皮下脂肪の厚さ(皮脂厚)に変化がないことが前提となりますが、毎回同じ部位を同じ人が測定すると測定誤差も少なくなり、屈筋と伸筋をあわせた筋のサイズの尺度として評価することができます。ケガをしてしばらく動かしていない部位は筋肉がおち、周径囲も細くなってしまいます。このようなときに、ケガをする以前の周径囲と比較してみると、どの程度筋力が落ちてしまったかをある程度把握することができます。

《筋力の評価》
 ウエイトを使ってトレーニングを行っている場合は、筋力測定を行うようにしましょう。普段から行っているトレーニング種目を中心に体全体を評価できるように上半身のエクササイズ(ベンチプレスなど)や下半身のエクササイズ(スクワットなど)、また体幹を中心とした腰背部のエクササイズ(デッドリフトなど)を選択します。
 エクササイズの選択についてはストレングスコーチなど、なるべく専門家のアドバイスを受けることが理想的です。フリーウエイトを使って行う1RM測定(RM=最大反復回数のこと。1RMは1回だけ挙げられる重さ)は、最大筋力を評価する最もわかりやすい測定方法の1つです。ただしトレーニングの初心者にはやや不向きであること、また限界に近い重さを扱うためケガのリスクが伴うことなどを考慮し、選手の体力やチームスケジュールなどに合わせて行うようにしましょう。

《走力の評価》
 この他にもランニング項目を測定することがあります。ベースランニングのタイムと30m、50mといった直線距離のタイムを比較し、スプリント能力を上げたほうがいいのか、それともベースランニングの技術をより多く練習したほうがいいのかといったこともわかるようになります。

 このように測定する項目も考えていくといろいろと思い浮かびますが、まずは基本的な項目から始めて、その上で専門的な測定に進むとより野球選手に必要な体力要素がわかり、トレーニングや練習への意欲もさらにわいてくると思います。そして大切なのは測定を継続することです。定期的に測定をすることが自分自身の成長の記録ともなり、技術力向上への足がかりともなります。皆さんも体重や体脂肪といった身近な項目から定期的に測定する習慣をつけてみてくださいね。

【現状を把握するための形態・体力測定】
●測定時期の目安は新チーム発足時、オフシーズン前、シーズン前の年3回
●測定を行う目的は現状把握、目標設定の目安、トレーニングの方向性の確認、ケガをしたときの評価
●測定項目は体重・体脂肪率など基本的なところから始めよう
●ウエイトトレーニングを継続的に行っているところは筋力測定を行おう
●走力はスプリント能力とともにベースランニング特有の技術レベルのチェックにもつながる
●測定は継続して行っていくことが大切

(文=西村 典子

次回コラム公開は11月30日を予定しております。

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第246回 部活動と感染予防の両立【セルフコンディショニングのススメ】
第245回 野球選手らしい体つき【セルフコンディショニングのススメ】
第36回 3年間で全国制覇3度。京葉ボーイズが「勝利」と「育成」を両立させた3つの取り組み【ネクスト球児~中学野球チーム訪問~】
第244回 心拍数とランニング強度を考える【セルフコンディショニングのススメ】
第243回 日常生活のマネジメント【セルフコンディショニングのススメ】
第880回 「休んだら終わり」からのモデルチェンジ 田中俊太選手(読売ジャイアンツ)【後編】 【2018年インタビュー】
第881回 「焦ったり力んでいるときこそ怪我をする」田中俊太選手(読売ジャイアンツ)【前編】 【2018年インタビュー】

コメントを投稿する

プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
  • 講演依頼はこちら
    講演・セミナー依頼受付中
  • 部室に一枚!!RICEポスターを無料配布中!!ダウンロードはこちらからDownload


ケガに強くなる!セルフコンディショニングのススメ
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム