
堀柊那(報徳学園)、真鍋 慧(広陵)、前田悠伍(大阪桐蔭)、平野大地(専大松戸)
第95回記念選抜高等学校野球大会の出場36校が決まった。今回は世代を代表する選手が4人いる。この選手たちを「センバツBIG4」と評価したい。

前田 悠伍(大阪桐蔭)
1人目は大阪桐蔭(大阪)の前田 悠伍投手(2年)。昨年のセンバツでは、13イニングを投げて、23奪三振、防御率0.00の快投を見せた。夏の甲子園、秋の国体、明治神宮大会でも格の違いを見せた。最速148キロの速球に、切れ味鋭いスライダー、ツーシーム、チェンジアップを駆使して打者を翻弄する投球は一級品。直球の出力不足が課題であるが、そこを克服できれば、鬼に金棒。またも「無双」する投球を見せてくれるに違いない。

平野 大地(専大松戸)
2人目は専大松戸(千葉)の平野 大地投手(2年)。平野はこの世代の右投手ではNo.1。このセンバツでは前田に並ぶ目玉投手と断言できる。ヤクルト・奥川 恭伸投手(星稜出身)を彷彿させるフォームから、最速151キロの速球とスライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分け、ゲームメークができる。昨秋の県大会準決勝の市立船橋戦では、延長11回を投げ抜き、4失点完投勝利を挙げた。また、秋季関東大会準々決勝の作新学院(栃木)戦でも逆転を呼び込む好リリーフを見せた。実力だけではなく、平野の秋の活躍にはドラマ性がある。センバツでも快投を見せれば、もっと評判が上がる投手になるに違いない。

真鍋 慧(広陵)
広陵(広島)の真鍋 慧内野手(2年)にも注目だ。ここまで高校通算49本塁打をマーク。昨年秋の明治神宮大会で放った2本の本塁打は、いずれも特大弾だった。打撃フォームについて、ヤクルト・村上 宗隆内野手(九州学院出身)を参考にしたという。その結果、本塁打を多く量産。技術的に追求できる選手で、この世代では屈指のスラッガーだ。細かいところを見れば、守備などいろいろ課題はある。まずは甲子園で真鍋でしかできない打撃を見せてほしい。試合の流れを変えるような特大弾や、他の打者が苦しむ投手でも真鍋は関係なく打つなど、頼りがいのある活躍を見せれば、ドラフト的にも評価は必然と上がる。

堀 柊那(報徳学園)
4人目は報徳学園(兵庫)の堀 柊那捕手(2年)だ。近年、センス型の強肩捕手が高く評価されている。20年ヤクルトドラフト2位の内山 壮真捕手(星稜出身)、22年DeNAドラフト1位の松尾 汐恩捕手(大阪桐蔭出身)や、タイプこそ違うが、ロッテの大型捕手・松川 虎生捕手(市立和歌山出身)と、NPBの各球団はスター性を持った高卒捕手を将来の正捕手候補として上位指名するケースが相次いでいる。内山、松川もある程度の成果が見られ、このトレンドは続くと見られる。
その点、堀はその需要にあった捕手ではないか。1.8秒台の強肩を常にできるスローイング技術を持つ。10割の力ではなく、送球フォームを突き詰めて、8割の力で投げることを意識している点も評価される。さらに脚力もあって走れる選手で、打撃も大きな欠点がない。打撃面で強烈なアピールができれば上位候補に挙がる捕手ではないか。

清原 勝児(慶應義塾)
ドラフト候補ではないが、目玉級の扱いをされている選手がいる。それが西武、巨人などで活躍した清原 和博氏(PL学園出身)の次男である、慶應義塾(神奈川)の清原 勝児内野手だ。昨秋から三塁手のレギュラーを獲得。秋季神奈川県大会では、慶應義塾の試合には毎試合、各メディアが取材していた。県大会3回戦の上矢部戦で満塁本塁打を放ち、ヒーローになると、秋の試合にもかかわらず、スタメンや打席結果が速報されるほど、注目度が高かった。清原はやや泳ぎながらも、長打にできる打撃技術があり、偉大な父からは「センター返し」の重要性を説かれ、それを大事にしている。
爽やかな笑顔に、取り組む姿勢も真面目で、チームメートから愛されているのが伝わってくる。偉大な打者として活躍した父の次男がセンバツ出場が近づいているということもあり、年明けの練習から各メディアが追うなど、その扱いはドラフト上位候補と変わりない。甲子園で活躍したとなれば、大きく盛り上がることは間違いない。
また、140キロ超えの投手を多く揃え、優勝候補として期待される仙台育英(宮城)や、東邦(愛知)の149キロ右腕・宮國 凌空投手(2年)とドラフト的な注目選手も多い。
「記念大会」に相応しい注目選手が揃った今大会は見どころ満載の大会となりそうだ。
(文=河嶋 宗一)