大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた今年のセンバツ。その中で大阪桐蔭にひけをとらない総合力を持ったチームといえば、浦和学院(埼玉)ではないだろうか。4試合で、19得点、5失点。そのうち2試合が完封勝利。さらにチーム本塁打は4本と投打ともに充実したチームだった。今回は改めて投手力を振り返りたい。

 今大会登板したのは以下の4名

宮城 誇南投手(3年)
金田 優太遊撃手(3年)
浅田 康成投手(3年)
芳野 大輝投手(3年)

特に宮城の投手成績は素晴らしい。

3月19日 大分舞鶴戦 9回 117球 13奪三振 無失点 
3月24日 和歌山東戦  7回 78球 10奪三振 無失点
3月28日 九州国際大付戦 7.1回 110球 4奪三振 3失点 

 開幕戦で完封勝利。そのほか3試合に先発した。1回戦から2回戦まで中4日で登板したこと。そして準々決勝でも中3日。先発登板ペースとしては申し分ない。

 森大監督は準々決勝に勝利後、準決勝では宮城を投げさせないと選手たちに伝えて、他の投手陣で投げきった。これまでの投手を見れば、連戦になれば、平均球速は落ちて当然。宮城の将来を考えて、投げさせなかった。この決断は素晴らしいと思う。現在の甲子園の日程で、全国制覇を狙うには「最も勝てる可能性が高いエース投手」が投げない試合は最低1試合は必要。準決勝で登板し、仮に勝ったとしても連投していたとなる。 

 平均球速の低下はそのまま被打率の高さにつながる。今大会の宮城は投手成績は素晴らしいが、直球の勢いはベストではなかったように見えた。夏へ向けて、さらに直球の質を高め、大会前に「常時140キロ中盤を出したい」と語っていたように夏はレベルアップを期待したい。

 遊撃手、リリーフで奮闘した金田の働きは本当に大きかった。

3月24日 和歌山東戦 1回 13球 1奪三振 無失点
3月28日 九州国際大付戦 1.2回 41球 2奪三振 無失点
3月30日 近江戦 5.2回 86球 2奪三振 4失点

 2回戦以降から3試合連続で登板。万能型の金田がいることが、浦和学院投手陣を助けたといえる。金田はセンバツでの球速は常時130キロ中盤〜後半。常時140キロ超えの速球ができるようになると、被打率はさらに下がりそう。ただ、金田の将来性は野手なので、やはり他の投手陣の成長に期待したい。

 センバツでは2試合登板した浅田。出力も高く、コントロールもまずまずで、甲子園で登板できるほどの総合力に達しているだけあって、常時140キロ前後の速球と切れのあるスライダーのコンビネーションで抑える投手で総合力の高さを実感した。このままでは甲子園で活躍するには物足りなさはあるが、センバツを経験できたのは本当に良いこと。まだ伸びる可能性がある。

芳野の投手成績はこちら。
近江戦 0.2回 23球 

 1イニングを投げることができず3四死球。非常に悔しい経験となってしまった。芳野は好調時には140キロ近い速球を投げる左腕で、冬場の練習ではかなり伸びのあるキャッチボールを見せ、投球練習も切れのある直球を投げており、首脳陣からの評価も高かった。安定して投げられるタイプだったので、甲子園登板でいつも通り投げる難しさを実感したはずだ。
 森監督は甲子園で投げることに価値があると語る。
「私も現役時代、背番号10で先発しましたが、甲子園で先発することにどれだけ価値があるか。浅田、芳野、頑張った金田は感じられたと思います」

 投手起用は理に適っていたもので、日程的にも恵まれ、優勝に近い学校だったといえる。ただ夏では、打力レベルも大きく高まるので、さらなる底上げが必要だろう。今回、ベンチを外れた投手も147キロ右腕の小田部 夏行投手(3年)、U-15代表を経験している西田 稀士郎投手(3年)に、今年、2年生を迎えた投手の中にも、実力派投手は多い。また県大会から強力な投手陣を作り上げるための競争がまた始まる。激戦区の埼玉を勝ち抜く圧倒的な投手陣となっているか注目していきたい。

(文=河嶋 宗一

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