春季高校野球東京都大会と1次予選の組み合わせ抽選会が行われ、東京の各校の組み合わせが決まった。3月11日からは1次予選がスタートし、早くも4月からの都大会を目指す熱い戦いが繰り広げられる。

 下町の葛飾区亀有に学校を構える都立葛飾野も上位進出を目指し、選手たちは仕上げに入っているところだ。

最大目標は文武生活三刀流で都立校初の甲子園勝利



ミーティングをする都立葛飾野

 都立葛飾野は、2021年のドラフト会議で、中日からドラフト1位指名を受けたブライト 健太外野手が過ごした学校である。現在の3年生が、当時1年生の冬場に挨拶に来たときは「身体が大きかった」など先輩の迫力が凄まじかったことを、印象に挙げる。同時に、高校時代のエピソードを聞き、いかに自主練習が重要なのか再確認したという。

 都立葛飾野にとって自主練習の時間は重要な要素だ。学校での練習は18時頃には終えて片付けとなる。練習時間に制限があり、かつグラウンドも練習をするには十分な広さではあるものの、試合をやるにはやや変則的な作りをしているため、基本的には相手校に出向くことがほとんどだ。

 練習環境に制限があるからこそ、選手自身が考えて野球に取り組む必要がある。事実、2022年は夏の東東京大会でベスト16入りした。出場校が多い東東京で、ベスト16は一定の成果が出ていると評価していいが、指揮官・才野監督は「考えて野球ができるようになった」ことを大きな要因に挙げており、練習の質を高める重要性を再認識した。

 質を高めるため、都立葛飾野では一貫した目標を立てられている。

文武生活三刀流で都立校初の甲子園勝利

 至る所に掲示物が張られていたが、必ず目標には、「文武生活三刀流で都立校初の甲子園勝利」が書き込まれていた。

 決して簡単な目標ではないが、選手たちは本気だ。取材日の練習中、選手たちが円陣を組むと、「目標はどこですか」という問いかけに対し、「甲子園」と返答するシーンが見受けられた。

 その後の練習でも合間では「それじゃあ甲子園でも勝てないぞ」と指摘する声も出ていた。チームを率いる主将・倉持 柊真内野手(3年)によると、日々の練習で欠かさずにやっていることだという。

 「秋の大会を終えてから、ただ声を出すのではなく、内容を求めるようにしました。今日も、甲子園というキーワードを練習中に出しましたが、これを毎日やることで、常に意識を持って取り組めます」

 練習時間、場所に限りがあるからこそ、いかにモチベーションを保ってやるか。どの学校でも課題となることだが、都立葛飾野に限って言えば、夢舞台を常に意識することが、スイッチになっているようだ。

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