マネジャーの永野 悠菜さん(城東)

 第95回記念選抜高校野球大会に出場する高校が決まる選考委員会が27日に予定されている。毎年、センバツ選考委員会で注目を集めるのが、21世紀枠3校。21世紀枠は困難を克服しながら一定の成績を収め、地域の模範となっているチームに出場機会が与えられる。昨年12月9日に各都道府県の推薦校から最終候補9校まで絞られた。

 四国地区の最終候補となっているのが城東(徳島)だ。

 昨秋は選手12人の少人数ながら県大会ベスト4進出と奮闘し、第93回大会以来2度目の21世紀枠・四国地区候補に選出。春夏通じて初の甲子園出場へ大きな期待がかかっている。

 全国9地区の最終候補の中で、城東には他の候補にはない唯一無二の特徴がある。選手12人、マネジャー1人の部員13人は最終候補9校の中で最も少ない。少ない部員で県4強の結果を残した城東は、最終候補への選考にあたって、永野 悠菜(ながの ゆうな)マネジャーの存在も評価を受けた。

 永野マネジャーは練習ではノッカーをこなす。中学時代はオーケストラ部に所属し、これまで野球に関わってきたことはなかったというが、幼馴染で同じ中学だった森本 凱斗主将に誘われて、マネジャーとして野球部への入部を決めた。

 永野マネジャーは、なぜノッカーを務めるようになったのか。監督不在の練習日に、ノックを担当していた選手がつぶやいた。「僕、今日ノックを1球も受けていない...」。その一言がきっかけだった。

「先生不在の日が何回もあったので、そういう日に打てるのは私しかいないなと思って、打とうと思いました」

 初めてノックバットを握ったのは2年生の6月ごろ。「お世話になった3年生に感謝のノックを打てるようになりたい」という思いで、朝練にも参加して練習を開始した。初めは新聞紙を丸めたものやテニスボールでバットに当てる練習を繰り返し、次はネットに向かって硬式球を打つ練習を行った。

 「当たるようになった」「飛ぶようになった」と少しずつ様になってきた。選手たちからは「トスを上げる場所が大事」などアドバイスももらいながら、徐々に感覚をつかんでいった。

 手に血豆ができたこともあったが、「自分が決めたことはやり遂げたい」と決心し、3年生が引退した7月にはゴロは打てるようになり、新チームからは貴重なノッカーとしてチームを支えている。

 野球部に入るまでは詳しいルールも分からなかった。それでも深く関わるに連れて「お手伝いだけのマネジャーではなくて、勝ちに貢献できるマネジャーになりたい」という思いが芽生えた。そんな強い思いが永野マネジャーの挑戦を支えていたという。

 今では内野ノックは打てるようになり、次は外野ノックを打てるように練習している。そして「ノックを打ち始めて、より選手の目線で見られるようになった」と視野が広がったことも収穫だった。「選手と同じ立場で声掛けができたら」と試合中も勝利へ貢献する。

 部員13人で吉報を待つ城東にとっては、永野マネジャーも戦力の1人だ。永野マネジャーを野球部に誘った張本人である森本主将も、「選手よりも練習して、朝から振って、手に血豆を作って、努力する姿を見て選手たちも刺激をもらった」とチームの士気が上がったことを実感している。「誘ったからには甲子園に連れて行けるように頑張りたいと思います」。

 城東に吉報は届くのか。春以降の躍進にも期待がかかる。

(記事=編集部)


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