目次

[1]『自然のシステム』を備えたようなチームを目指して
[2]組織づくりの手ごたえ。そして新たな課題


 昨秋の兵庫大会で初優勝を飾った。近本光司外野手(阪神)や辰巳涼介外野手(楽天)の出身校としても知られており、卒業後も真摯に野球に打ち込み、力を伸ばす選手が数多くいる。

 初出場ながら4強入りを果たした2004年春以来の甲子園出場を目指す、のチーム作りは独特なものだった。

『自然のシステム』を備えたようなチームを目指して


 兵庫県加東市に所在する高校は体育科のある県立校。専用グラウンドや寮が設置され、野球に打ち込める環境が整っている。

 2014年8月に就任した山本巧監督は同校のOB。前任校の小野ではとは公式戦だけでも十数試合の対戦経験があり、ゆえに母校に対して『ある部分』が気になっていたという。

 「何度も対戦する中で、体育会系文化の負の部分がネックになっているんだろうなと感じていました。それは誰の責任でもなく、長らくの日本社会発展の歴史上、意識的にも無意識的にも利用されてきた体育会系文化の負の価値観や慣習、思考のあり方が教育界にも用いられ、招いていたことだと思っていました。自分自身も社会人になってから、様々な場面でふと自分の価値観に偏りを感じたり、無意識に持っていた固定観念にストレスを感じることが多々ありましたので、それらの根源を見逃さず変革していくという『確かな行動』が必要だと思っていました」

 山本監督は小野時代、との試合で次のようなプレーを経験している。当時の小野では四球を選ぶと相手の様子を伺いながらに二塁を陥れるという意識改革のための戦術をあえて持ち合わせていたが、それがを相手に成功してしまうということがあった。そのプレーが成功したか否かではなく、その時の内野手のリアクションを見ていて、事の深刻さを感じたという。

 「相手の内野手はそこに対しては切り替えて行こうと。そういう雰囲気、運びだったように感じました。『想定外』を無くすことも練習要素の一つだとすると、その域ではなかったのかなと。特に下級生は、日々、下級生としてのメンタルの構築に力を注がざるを得ず、野球を深く追究するという心的領域には至っていなかったと推測します。それはまさに体育会系文化の負の要素がもたらす野球への取り組み方から生まれる事象の1つで、問題は、問題が『そこにある』ということを誰も言わないことだと思っていました」

 14年春にに赴任した際には、自然界に多種多様な植物が育ち共生するかの如く、選手が互いに高め合い成長していく『自然のシステム』を備えたようなチーム作りを志したが、強行するという手法は避けた。「今いる選手を否定したくなかった」

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