令和最初の選抜王者に輝いたのは、東海大相模だった。エース・石田 隼都の安定感抜群の投球を軸にした野球で頂点に上り詰めた。ただ今大会は注目選手が勢ぞろいとなり、優勝候補はいくつかに割れた。その候補のなかの1つが仙台育英だった。

 エース・伊藤 樹という大黒柱があり、打線は主砲・吉野 蓮秋山 俊、さらに準々決勝・天理戦でホームランを放った八巻真也やチームをまとめる島貫 丞主将がいる。指揮官・須江 航監督が率いるタレント揃いのチームは、悲願の東北勢初の優勝の期待が高まっていた。

 周囲からの期待を背に受け、仙台育英の選手たちは、聖地・甲子園でどんな思いをもって過ごしたのか。今回は2回戦・神戸国際大附と準々決勝・天理戦の振り返り。そして夏への思いを聞かせてもらった。

足を生かした自分たちの野球ができた神戸国際大附戦


 手に汗握る投手戦を制した仙台育英。2回戦では地元・兵庫の強豪・神戸国際大附が立ちふさがった。相手は開幕戦でサヨナラ勝ちを収めて勢いづいているだけに油断できない相手だったが、仙台育英には関係なかった。

 5回までに8得点を奪う攻撃で神戸国際大附を攻略すると、守っては安定感光る松田 隆之介のテンポの良い投球で1点しか与えない試合運び。後半はメンバーを代えて守備の乱れが出るシーンもありながら、13対5というスコアでベスト8入り一番乗り。明徳義塾戦では発揮しきれなかった本来の力を出す結果だった。

 島貫主将も「序盤に点数が取れたことが勝因です」と振り返っていたが、いかにして立ち上がりから猛攻を見せることが出来たのか。

 「180センチ後半でサウスポーの千葉 倖生がいるんですが、彼が相手投手のフォームや癖を真似してくれたんです。そのおかげである程度のイメージを事前にもって、準備不足なく打席の中に入れました。だから違和感なく対戦ができて、序盤で点数が取れました」

 また、今年のチームの持ち味である走塁でも攻撃できたことが大きいと4番・吉野は感じている。

 「試合前から須江監督からは『仙台育英の走塁を絡めた野球をすれば点数は入る』と言ってもらえたので、しっかりと走塁に目を向けて戦えたので、点差を離すことが出来ました」

 島貫主将も「何時も大事にしている走塁がハマった一戦でした」と振り返る一方で、準々決勝に向けては一抹の不安があった。

 「後半に甲子園初出場の選手が多く、目に見えるミスはもちろん、細かいところや、目に見えないところで守備が乱れました。緊張感ある中で思うようなプレーができなかったからですが、最後は耐えきって勝つ形になりました。

 周りの人たちからは良い野球に見えたかもしれませんが、戦っていた自分たちは悪いところが出てしまったと思います」

 試合後には須江監督からも『勝った気になるな』と厳しい言葉をかけてもらうなど、準々決勝に向けて再び気を引き締めた仙台育英ナイン。ただ、準々決勝・天理戦ではこれまでとは違う展開となった。

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