目次

[1]恩師から受け継いだ人間力の大切さ
[2]小枝野球を継承し、夏こそは躍進狙う


 清宮 幸太郎安田 尚憲などをまとめ、高校日本代表の監督として2017年のW杯では3位入賞。また、日大三拓大紅陵といった強豪校でチームを指揮した実績があることでも有名な小枝 守氏。2019年の1月に亡くなられたが、小枝氏のDNAを受け継ぎ、チームに活かしている学校が千葉県にあった。

恩師から受け継いだ人間力の大切さ


 「(小枝先生には)野球や私生活を含めて、道徳的なことを教えてもらいました」

 高校時代を拓大紅陵で過ごし、小枝さんとは選手と監督という間柄だった古橋 富洋氏。現在は千葉県の敬愛学園で監督として選手たちを指導する立場だ。

 過去には日本のみならず、メジャーでも活躍した五十嵐 亮太さんをプロ野球界に輩出した手腕の持ち主。春は県大会1回戦で敗れたものの、夏の巻き返しに期待がかかる。そんな古橋監督が、恩師・小枝さんから受け継いだのは人間力だった。

 「高校生くらいの年代だと、人への感謝など当たり前の言葉を素直に言える人は少ないです。しかし、自分の知らない場所で支えてくれている人は絶対にいるので、そういう人たちに気づいて、感謝の気持ちを伝えるのは大事だと選手たちには話しています。そうした行動がプレー1つ1つの精度や、力が比例して上がっていると実感しています」

 敬愛学園の取材を通じて感じたことは、些細なことへの感謝の言葉。ノックが終われば選手たちが古橋監督のところに駆け寄り、「ありがとうございました」と一言。シート打撃ではミスをすれば仲間たちに「ごめん」と素直に謝る。

 一見すれば当たり前のことかもしれないが、チームの主軸を担う太田 裕一「御礼の言葉や謝ることは常日頃から細かいところまで意識しています」と話せば、主将の林 龍之介も「誰よりも礼儀や感謝の気持ちを言葉にするように取り組んでいます」と語る。古橋監督を通じて小枝さんの教えが少しずつではあるが浸透していることがわかる。

 ただ、小枝さんから教わったことは、人間力だけにはとどまらない。古橋監督が野球の技術、戦術面で選手たちに伝えるのは、積み重ねることだ。
 「失敗をしても成功をしても、繰り返すことで道が出来ると。だから一歩の歩みを大切に、積極的にトライしていこうと。それが結果として選手たちの幅を広げることだと思うんです」