誰もが経験したことのない特別な夏を経験することになった2020年夏の高校野球。埼玉県で公立の雄として毎年好チームを作り上げていき浦和学院、春日部共栄、花咲徳栄、聖望学園といった甲子園で実績のある私学の強豪校を脅かしてきた市立川越も、“特別な夏”は同じだった。
新たな思いでスタートした新チーム
「今年は、たまたま3年生がちょうど20人でマネージャーが1人だったんだよね。だから、夏の甲子園が中止になって、埼玉県で独自大会をやるっていうことになった時に、夏は3年生だけで戦うということを宣言しちゃったんだよね。本当は、チームとしては、下級生(2年生)が何人か入っていて、それが刺激になってチーム力が上がっていくという形がいいんだけれども…。そうもいかない状況になっちゃったからね」
新井清司監督のこの夏の埼玉県独自大会へ臨む思いだった。
結果としては、3回戦で武蔵越生に敗退してしまった。当初の目論見としては、西部地区決勝、そしてあわよくば4強対決のメットライフドームでの戦いまで進みたかったというのは本音だが、そうもいかない状況だったという。
また、7回制での戦いという点でも、「序盤でリードされて、早めに追いつけなかったら、5回過ぎたらもう終盤だもんねぇ。負けている方は、焦りますよ」
結局そんな戦いで夏は敗れ去ることになったのだった。
この夏は、オール3年生で戦わざるを得なかったということでの影響は、新チームをスタートした時にも多少なりともあったという。
「毎年、秋の新チームっていうのは、何人かの夏の経験者を核にしてチームを作っていくんだけれども、今年はそれが誰もいないからねぇ。だから、チームとしての柱という価格ができていないんですよ。(多少のイメージは出来てはいるけれども)まったくゼロの状態ですよ。
それに、チームそのもののスタートだって、(夏の独自大会開催が8月からということになったこともあって)例年に比べて遅くなっているからね。しかも、夏休みも短くなっていて2週間くらいしかなくて、もう25日からは二学期が始まりましたからね。
チームとしての練習試合なんかも、県外のチームの遠征がままならない状態でもあるから、予定していた試合も中止になったりもしていますから、夏休み中には2~3試合しかやれていない状況ですよ。その上に、5月~6月での身体づくりも出来ていないからねぇ、どうしたってけが人も出てしまうし…。投手陣だって、大事なところで投げ込んで作っていっていないからね」
そんな、新井監督の嘆き節は止まらない。