第1014回 各選手の思考力の高さが結果として現れる 星稜高校(石川)【後編】2020年02月13日

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【目次】
【星稜の練習の模様をギャラリーでみる】
[1]内山がチームの色を作った
[2]選手、指導者がしっかりと意思疎通しているから思考力が高い選手が生まれる

選手、指導者がしっかりと意思疎通しているから思考力が高い選手が生まれる



伝統のトスバッティング

 また選手たちの取材を進めると、上達のために動画を見ながら、研究することは当たり前のように行う。エース・荻原 吟哉は自分の投球の映像を見て振り返ったり、奥川恭伸、山岡 泰輔の動画を見て投球フォームの理論を学び、また三塁手の知田 爽汰森 友哉のスイングを見て、打撃フォームに生かし、そして課題の三塁守備も、「捕球が苦手だったので、打球の見え方を少し変えたら、捕球も、送球もよくなった」と自ら気づいて上達を見せている。

 また、小学校時代にゴルフをしていた強打者の中田 達也も自慢のフルスイングを磨くために吉田 正尚(オリックス)、柳田(福岡ソフトバンク)のスイングを見て自分のものに取り入れており、また星稜伝統の押し手、引き手、両手の3種類のトスバッティングを取り入れ、星稜の打者にはないアッパー気味のスイングに進化。少ない出場機会ながら高校通算6本塁打をマークしている。林監督をはじめとした指導スタッフ陣はその姿勢を評価している。

「今はもうそんな時代ですね。やろうと思えばどんだけでもできると思いますし、我々がやっていた頃とは違いますからね。それだけうまくなりたいとか強くなりたい、勝ちたい思いが強く出ているからだと思います。
 特に甲子園決勝まで進んだ3年生は自分から考えて習得した選手が多かったので、後輩たちもその流れを引き継いでいると思います」

 

 林監督はそうした思考にできるように接し方も工夫をしている。
「もともと私は厳しく叱っていた時代もあり、それで指導者として失敗したこともありました。そういう経験から指導スタイルを変えないといけないと感じました。

 萎縮した状態を作りたくないので、生徒たちがやりやすい環境を作るというのは、指導者としての仕事の1つだと思っています。それでも彼らはまだまだ高校生なので、だらしなくなってしまうこともありますので、そういったところが見えたときにはきつく叱ることもあります。

 だけれどある程度のことには目をつぶることもありますし、そこのバランスというかあんまり一方通行にならないように生徒たちも自分たちの力でできるよう環境を創ることは考えています」

 今までは指導者、選手とのトップダウン。また我の強い選手を強く押さえつける時代もあった。今では意識と技量を兼ね備えた選手が多く入学していることもあり、指導内容はどんどんアップデートしているのだ。

 もちろん目指すのは全国制覇だ。
「昨夏、24年ぶりの決勝まで行かせていただきましたが、また近いうちに行けると思ってしまうと、また半世紀もかかってしまう。なので、決勝戦の雰囲気を味わっている彼ら(1、2年生)のうちに狙っていきたいんですよね。

 あの雰囲気は私の中でも今までとは違う雰囲気、景色がありました。まだ去年の3年生たちが甲子園で勝つにはどういうレベルに達すればいいのかを見せてくれて、それが財産になっています。それを一緒にプレーし、間近で見てきた選手たちだからこそ全国制覇を狙っていきたいと思います」

 1970年代から全国的な強豪へ成長した星稜。令和になってもいまだ甲子園制覇を狙える強豪であり続けるのは、現代の選手の気質に合わせて、指導法が変化しているからだろう。

 全国制覇を目指せるチームは、単に実力だけではない、勢いや機運も大事となる。自分たちのスタイルで全国で実績を上げた星稜の選手たちの表情は自信に満ち溢れている。またあと一歩で優勝を逃した悔しさも大きなエネルギーとなっている。

 林監督の言葉通り、全国制覇を狙うには今年のうちしかない。

(取材・河嶋 宗一


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星稜 【高校別データ】

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