
日隈モンテル
昨年パ・リーグ3位だった西武は、22年のドラフトで本指名6人、育成指名4人を指名した。その育成ドラフトを総括する。
育成1位の野村 和輝内野手(東大阪大柏原ー石川ミリオンスターズ)は、和製大砲として期待されている。パワフルなスイングから次々と本塁打を量産するパワーヒッターで、140キロを超える投手だったこともあり強肩を秘めている。三塁守備も軽快で1年目からファームのレギュラー争いに加わっていきたい。高卒2年目の選手と同い年だが、結果を求められる立場である。
育成2位の日隈 モンテル外野手(金光大阪ーOBC高島ー琉球ブルーオーシャンズー徳島インディゴソックス)は、速球投手として活躍したものの、野手に転向してから26試合で12盗塁をマークした。俊足だけではなく、西武の入団テストのフィジカル系のメニューでかなりの高数値を出したことでNPB入りへの道を切り開いた。性格的に明るく、徳島入りと西武入りのいきさつから、これほど周りの指導者に恵まれている選手はいないと思わされた。
1年目は2軍の外野手争いに加わり、自慢の脚力で抜きん出たパフォーマンスを見せてほしい。走塁面、盗塁面でアピールできれば、チャンスは訪れそうだ。
育成3位の右腕、三浦 大輝投手(時習館ー中京大)は、やや押し出すような投げ方から回転数抜群の145キロ前後の速球を投げ込む。かつての西武ならば、本指名クラス。今では、これほどの投手が育成枠となることを考えれば、NPBの投手レベルは間違いなく上がっているといわざるをえない。
育成4位の是澤 涼輔捕手(健大高崎ー法政大)はリーグ戦での実績はほとんどない。練習取材でのパフォーマンスではあまり印象に残る選手ではなかった。強肩ではあるが、大学、社会人は総合力の高い捕手が多い中で、ドラフト指名する上で、「肩」が最大の強みとは感じなかった。やはり人間性、キャラクターによる評価が大きいのだろう。捕手はコミュニケーション能力や野球脳など内面の力が重要になる。チーム運営も、能力が高い選手だけで成り立つものではない。支配下登録になるにはかなり能力を底上げしないといけないが、是澤がいることで、多くの投手の能力を引き出すことができたり、チームのいい雰囲気づくりなど、プラスになったと思わせる働きを期待したい。
育成選手も、将来のスラッガー枠の野村、足枠のモンテルに加え、投手の故障者が相次ぐなか2軍で支配下登録を狙える三浦、チームに好影響を与えそうな人間性を持った是澤と、個性あふれる魅力的な選手たちを指名した。他球団にはないスタイルをとった西武。数年後、どんな変化が表れるか楽しみだ。
(記事:河嶋 宗一)