鹿児島市内から車で約40分、県西部のいちき串木野市で活動を行う硬式野球チーム・串木野ドリームズは、ジャイアンツカップ4度(うち1度は大会中止)の出場実績を持つ鹿児島県内でも屈指の強豪チームだ。髙田 隼之介投手(鹿児島実ー専修大2年)や城下 拡捕手(鹿児島実ー大阪ガス)といった日本代表を経験した選手も輩出しており、九州・山口地区のクラブNo.1を決めるホークスカップにも3度出場した。

 チームを率いる佐藤正剛監督は、これまで20年以上にわたって選手を指導しており、「控えはレギュラーメンバーの為に、レギュラーは控えメンバーの為に」の信念の下、週4日(火、木曜が平日練習)活動を行っている。

目指すのは「逆境に負けない人間作り」


 練習前のミーティングでは、選手たちの笑みが絶えない。佐藤監督の軽快なジョークが飛び交い、明るい雰囲気を保ったまま選手たちは練習に入っていく。そして一たび練習がスタートすると、選手たちは明るい雰囲気を士気の高さへと繋げ、西薩グラウンドは活気に満ちあふれている。

 佐藤監督は就任以来、「どんな逆境にも負けない人間作り」を目指して、選手の能力を引き出す術を模索してきたという。ジョークによる明るい雰囲気や、ふとした時の選手の表情、些細な動きも観察して、常にプレーに没頭できる環境を求めて試行錯誤してきた。

「強い選手というよりは、どんな逆境にも負けない人間づくりです。今はそのためにスポーツメンタルトレーナーの資格取得も目指しており、僕自身も猛勉強中です」

 選手の精神的なサポートに細心の注意を払う一方で、技術指導においては理論に基づいた指導を心掛けている。チームでは、体の重心が足裏のどこにあるかという観点から、体の使い方を4つに分類する「4スタンス理論」に沿った指導を実践しており、選手のタイプをすべて佐藤監督は把握している。

 選手のタイプとその特徴はすべて表にまとめており、構えのポイントや力の入れどころ、注意点などは練習中もチェックできる。特徴や指導方法は選手によって違い、同じ指導がすべての選手に合うとは限らない。選手それぞれに合った指導を追及する中で、佐藤監督は「4スタンス理論」に行きついた。

「特徴や注意点を伝えておけば、選手がそれぞれで気をつけながら練習に取り組むことができます。選手自身が、自らの特徴を把握することは、とても大事なことなので、すごく良いなと思っています」

 串木野ドリームズは、今年も130キロを超える投手が3人も並ぶなど、高い戦力を有している。どんな逆境にも負けない精神力に、選手それぞれに合った技術指導。二つが起こす化学反応で、どんな成績を残すか注目だ。

(取材:栗崎 祐太朗)