宿敵・韓国との戦い

 第1回、2回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や北京五輪の韓国は、何度も日本の前に立ちふさがり、まさに宿敵、強敵という言葉が相応しかった。2009年のWBC決勝からはや14年。韓国はWBCで3大会連続で1次ラウンド敗退となった。1次ラウンドでは3位となったため、次回のWBCの出場権は確保したとはいえ、国際大会に強い韓国はすでに過去のものとなった。なぜこのような事態になったのかは、積み重ねてできたものだった。

日本戦を切り捨て、オーストラリア戦に集中していれば……

 WBCに出場した韓国代表チームが14日、韓国世論の厳しい視線を受けながら帰国した。WBCでは3大会連続の1次ラウンドでの敗退になる。2年前の東京五輪ではメダルを逃している。WBCでは第1回大会はベスト4、第2回大会は準優勝、2008年の北京五輪では金メダルを獲得した韓国野球の栄光は、すっかり過去のものとなった。

 今回なぜ敗れたかを語る前に、かつてはなぜ強かったか考える必要がある。韓国の学生スポーツは少数エリート主義で、基本的にプロに入ることを前提にしている。高校のチーム数は、かつては50ほどで、今は倍近く増えたといえども90程度だ。それでプロ野球10球団の選手の大半を支えている。きわめて不自然な状況であるが、少人数のため選手同士、子供の時からよく知っているので、代表チームとしての一体感を作るのには役立っていた。

 その代わり、選手層は非常に薄い。第2回のWBCで韓国のヘッドコーチを務めた金城漢(キム・ソンハン)は、「日本はどの選手も高いレベルにあるが、我が国は高いレベルにあるのは、ほんの一握りだ」と語っていた。けれども、その少ない選手を効率よく活用し好成績を挙げてきた。よほどのことがないと勝てない試合や、よほどのことがないと負けることのない試合はメンバーを落とし、勝負のかかった試合に集中する。

 今回であれば、金広鉉(キム・グァンヒョン/SSG)ら主要投手は、2位争いのカギとなるオーストラリア戦に投入して、日本戦は若手投手の経験の場と割り切れば、準々決勝には進出できたかもしれない。世論を気にして日本戦にも主力をつぎ込んだことで、限られた戦力が分散した感がある。