9月10日から19日にかけて米国・フロリダで行われた第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップは、世界12カ国の代表チームが参加した。その中には日本、米国、台湾、韓国など「野球大国」だけでなく、野球が盛んではない国からも18歳以下の「野球少年」たちが世界大会の舞台で躍動した。

 一般的に野球のイメージがない「野球マイナー国」の選手たちへ「なぜ野球を始めたの?」と聞いてみた。

ブラジル代表のケンジ・オダイラ外野手


 ブラジル代表には日本の苗字を持つ選手がメンバー表に並んでいた。背番号5のケンジ・オダイラ外野手は父・母ともに日本人。しかし、本人はブラジルで生まれ、これまで日本に来たこともなければ、日本語も話せないという。日本の野球にルーツがあるのでは、という筆者の安直な推測は見事に外れた。

 野球を始めた理由を聞くと、「たまたま隣の家に野球のコーチが住んでいた。毎日近所を走り回っていると、彼に誘われて、外野手を勧められた」と答えてくれた。

 野球を始めた当初は「難しかった」と振り返るも「外野手では自分の足の速さが生かせた」と手応えも感じた。

 野球人口が少ないブラジルには野球チームはせいぜい20チームぐらいという。「プロリーグはない。(野球をしているのは)ただ野球を愛している人だけ」と笑う。

 代表メンバーに選ばれた際には「国際大会で自分のプレーを見せることができることに喜びを感じた。守備で貢献したいと思った」と胸を躍らせた。世界の舞台を存分に楽しんだ。

 クリスチャンであるオダイラの夢は「キリスト教を広めること」という。これからも野球は続けていくという。

イタリア代表のリチャード・ネポリ投手



イタリア代表のリチャード・ネポリ投手

 イタリア代表のリチャード・ネポリ投手は国内での野球人気について「サッカー、バスケットボール、バレーボールがメジャースポーツで野球は6番目ぐらいかな」と語る。

 野球を始めた理由は、「野球を始める前は水泳をしていたが、学校の授業で野球を行った時に、好きになったから」。

 マイナースポーツであるため、身近な友達に対して野球を理解してもらうことにも苦労しているという。

「クラスで野球をやっているのは僕だけ。クラスメイトには野球のルールについて何度も説明したが、『9人でやるスポーツ』ということしかわかってもらえていないみたい」。

 それでも、友人たちにイタリア代表に選ばれたことを告げた際には「『野球の世界大会』のイメージはわいていないようだったが、応援してくれた」。

 夢はプロ野球選手で「セリエAやMLBでプレーすること」。そして「NPBでもプレーしてみたい」と語った。

南アフリカ代表のロバート・ホワイト投手



南アフリカ代表のロバート・ホワイト投手

 南アフリカではクリケットがメジャースポーツだという。野球の知名度は、国民の「30パーセントぐらいかな」とロバート・ホワイト投手は語る。クリケットを始めることも考えたそうだが、「よりスポーツっぽいから」と野球を選んだ。

 代表に選出された際は「MLBチームのスカウトなど多くの人が自分のプレーを見てくれることに期待をした。力を発揮したいと思った」とプロを目指すロバート投手にとって、この国際大会の舞台は大きな経験となった。

 フロリダまではトランジットを含め23時間の大移動だった。「初めての経験だったが、機内では映画を見たりリラックスしていた」。

 高校卒業後は米国の大学へ進学予定。「メジャーリーグでプレーしてみたい」と将来の夢を教えてくれた。

(記事=藤木 拓弥)