目次

[1]自分を知り、考えて取り組める選手だった
[2]あくなき向上心をもって、さらなる成長を


 5月11日、プロ野球の長い歴史に1人の投手が新たに名を刻んだ。

 ソフトバンクの東浜 巨投手(沖縄尚学出身)だ。
 西武戦でNPB史上84人目、95度目のノーヒットノーランを達成。偉業を成し遂げたことは大きな話題となった。

 多くのメディアが報じる中、沖縄尚学時代の恩師である比嘉公也監督は、テレビの前で偉業達成の瞬間を見届けていた。

自分を知り、考えて取り組める選手だった


 「偶然テレビで観戦していましたが、凄いと思いました。特に9回投げて100球以内というのは、ストライク先行で抑えたということだと思いますので、本当に凄いです」

 教え子の大偉業の達成に称賛の声を送るのはもちろん、マダックス(100球未満での完封)達成に同じ投手として、改めて東浜の凄さを感じているようだった。

 そのうえで、今回の偉業達成を恩師・比嘉監督は自己分析能力の高さを要因に挙げた。
 「当時からどうすれば成長できるか考えて練習できる選手でした。それを今も続けて勉強しているから、ノーヒットノーランに繋がったんだと思います」

 直球の質はもちろん、いかに直球に似た軌道から変化させるのか。また、どうやってピッチングの中に緩急をつけるのか。今の自分の武器、そして抑えるために必要な球種は何なのか。普段のキャッチボールから「試行錯誤しながら考えて取り組んでいました」と当時の様子を記憶の片隅から思い出しながら話した。

 考えて練習をする姿勢はキャッチボールだけではない。試合やシート打撃での取り組みを振り返っても、東浜は他の投手とは違ったようだ。
 「東浜は、試合が終わっても遠投をしていましたし、シート打撃で納得できない投球ならすぐにブルペンに駆け出して、フォームを確認するために投げ込むような投手でした。それだけ投げることに関しては誰よりもやっている投手だったと思います」

 その様子を見てきて「投げることが好きな選手でした」と懐かしそうに話しつつ「投手は自分の球やリリースポイントを覚えるには、まずは投げないといけないことを学びました」と、指導者ではありながら教え子の練習への取り組み方を通じて、新たな学びもあったという。