今年のペナントレースはセ・パ両リーグともに優秀な新人で溢れた。パ・リーグはこの男が新人王に選ばれた。それがオリックスの宮城 大弥投手だ。
興南(沖縄)時代は2度の甲子園に出場。さらにU-18代表にも選出され、2019年NO.1左腕と評された。新人王対象となる今年は13勝、防御率2.51と、いずれもエースの山本 由伸投手(都城高出身)に次ぐ成績だった。入団後から人気も急上昇し、人気プレイヤーとなった宮城。高校時代を知る、興南の我喜屋 優監督に話を聞いた。
入学時からずば抜けていた完成度の高さ

我喜屋 優監督(興南)、高校時代の宮城 大弥(興南)
宜野湾ポニー時代から評判だった。同チームは県外問わず、甲子園で活躍する球児を送り出し、今年では星稜のマーガード真偉輝投手(2年)、興南の主将・禰覇 盛太郎外野手(2年)など活躍する選手が多い。我喜屋監督は高校野球で活躍する可能性を持った逸材を視察するために、宜野湾ポニーの練習グラウンドに訪れていたが、その時は宮城が目当てではなかった。
「たまたま宮城を見に行ったわけではないですが、宜野湾ポニーの練習に行った時に『この子は面白いよ』という話から見てみたら、大きくはなかったのですが、球のキレはいいし、コントロールもまとまっているなと。それに加えて、実戦的な選手だなと感じました。そういうことで、縁があって興南高校に入ってもらいました」
我喜屋監督は宮城を見たとき「社会人で続けられる選手」と感じたという。
「プロとなると先の話になりますが、私自身、社会人野球(大昭和製紙、大昭和製紙北海道)を経験していたので、そういう経験から、社会人野球でプレーできる選手だと思っていました。何より良かったのは野球小僧という部分です」
宜野湾ポニーの指導者も同じ評価をしていたが、我喜屋監督なりの視点で解説する。
「いわゆる野球小僧ですね。寝ても覚めても、暮れても明けても野球。そして体が強くて、なかなか故障しない。ピッチャーとして活躍できる要素がありました。
ピッチャーは球筋もコントロールも必要だけど、ハート部分でならしていた。1年生から投げても3年生のような落ち着いたマウンドさばきでした。ピンチでもチャンスになっても表情は変わらない子でした」
宮城に限らず、教え子について「野球小僧だった」と振り返るプロ野球選手の恩師は多い。我喜屋監督は宮城のどういう部分に「野球小僧」を感じたのか。
「見ててわかるんですよ。バッティングにしてもピッチングにしても、集中もするけれども、やっぱり楽しんでるなと感じます。他の選手もみんな前向きに頑張っているんですけど、とにかくピッチングもそうだったし、バッティングもそうだし、期待に応えてくれるような、頼りになる堂々とした野球を常にやっていたのが僕が認めるところです」
我喜屋監督は宮城の完成度の高さを評価し、1年生から抜擢。その内容は沖縄大会を勝ち抜き、甲子園に行ける実力はあると実感していた。「うちは島袋洋奨(元ソフトバンク、現興南コーチ)とか、比屋根雅也(立教大卒)とか甲子園に出場した左投手がいます。彼らを基準にすれば、ここまで到達すれば、相手のチームと戦えるという目安を持っていますから、宮城に関しても1年生だからといって特別にビックリするというのは無かったです」